塾録

第五回 長期投資塾

2018年3月15日 さわかみ投信(株)会議室

澤上篤人塾長

最初から言っている通り、長期投資には先のことしかない。
もちろん先のことは誰にも分からない。
分からない中で、データに頼っても仕方がないし、そもそも使わない。
むしろ歴史とかが大事で、自らの頭を使って考えなければならない。

最近、様々なテーマが市場に出てきている。
今日はまず頭の体操ということで、何でも良いので話しあってみよう。

塾生質問

Q:政治の混乱を長期投資ではどう考えるか?
A:長期投資家には何も関係ない・・・なぜか?
Q:投資は個別企業にするものなので経済環境や政治とは関係ない?
A:政治の混迷で株価だけは下がっていくわな・・・じゃ、買っておけばいい。
  忘れていけないのは、政治と切り離しても世界経済は拡大している現状。
  根拠は人口・・・世界人口は今72億人だが、2050年には90億人を超えてくる。
  平均すると一日17万8千人が増えているのが現実。
  貧富の差はあれ、それだけの人口の需要を満たしていかなければならない。
  政治が混迷しようとも、何が起ころうとも不変の現実だ。
  だからこそ長い時間軸で考えて、社会に必要な企業は下がったら買っておけばいい。
  したがってむしろ、どういう企業に投資するか、絞り込むか・・・。
  常時、頭を使って考えておかなければならない。
Q:しかし、トランプ大統領のような政治であれば、経済の拡大の仕方すら変わるのではないか?
A:目先の事象にとらわれず、長い目戦でどう変わっていくかを考えるべき。
  歴史観から見て、変わっていく方向に乗れる企業に投資をする。
  他方で分からないことも有る・・・であれば、無理の投資をしなければよい。
  何があっても変わらないもの、または変化の確信を持てるものに絞ればよい。

Q:世界人口は増えるかもしれないけど、日本の人口は減っていく。
  働き手が減るという面を考慮すれば、人材関連企業か、AIが良いのか?
A:移民の歴史だとか、あらゆる歴史を追ってみても良い。
  AIの可能性もあるが、分からなければ無理に投資しなければよい。
  投資は常に行動を伴うもの・・・分からなければ行動できない。
  では、人口が減っていく日本は本当に将来はないか?
  経済はお金の量に速度をかけたもの・・・お金の量が増えれば経済は拡大できる。
  例えばネスレは自国の人口が少ない割には世界企業へと成長した。
  戦争だとかを乗り越え、世界へ広がっている。
  だったらネスレの株を買って、企業のグローバル化に乗ればよい。

Q:日本企業が海外企業を買収して成長すると考えた場合、どうやって調べるのか?
A:世界のグローバル企業をまずは調査したらよい。
  ぼやーと考えるのではなく、あらゆる方向から徹底的に考えれば見えてくる。

Q:徹底的に調べ投資した企業の株価が、何らかのきっかけで下がった時は?
A:単なる減益などだったら、その企業の将来、そして社員のことを考えればむしろ応援時。
  しかし不祥事とか、根本的な問題が多発するようであれば考え直さなければならない。

Q:市場には長期投資家だけでなく、短期プレーヤーなど様々だがどう考えるべきか?
  市場を荒らされているような感じも受ける。
A:短期プレーヤーがいなくなることは絶対ない。
  逆に短期プレーヤーがいるから長期投資家も存在し得る。
  荒らされているとは言わないけど、思うところがあれば長期投資家を増やすべき。
  この塾もそれが狙いである。

その他のQ
・ グレートローテーションの中でのアセットの切り替えは大切か?
・ 投資先は上場企業だけなのか?
・ 世間では投資をお金儲けとしか考えていないが?
・ もっと長期投資という金融教育を広めてみては?

塾後の懇親会風景