塾録

第二回 長期投資塾

2017年12月21日 さわかみ投信(株)会議室

第二回 塾長からのプレゼンテーション

澤上篤人塾長

ここまでは「考えること」を中心に長期投資塾を進めてきた。
そろそろ次のステージである「読み込み」に移っていきたい。

投資においては現在にとらわれていても仕方がない。
将来どうなるのだろうか・・・これまでの思考力を基に、将来について考えてみたい。

その前に、まずは前回の塾で課題を与えられた塾生の発表から。

塾生発表

塾生発表

・ 長期投資の有用性・論理性を数学の研究という実体験を伴ったところから考えたい。
  数学とは既に出ている成果への解釈の追求が大半、膨大な時間を使ってもわからない。
  大きな成果を出すためには不断の勉強が必要で、それでもわかならい。
  したがって長期投資でも、わからないが続いていくことが必要なのではないか。
  また成果や研究自体だけでなく、周辺の分野にも興味を持つことが重要なのではないか。

塾長副塾長コメント

・ 成果が出たらノーベル賞ものだろうな。
  大事なのは成果を出すことだけなく、わからないもの、森羅万象をとらえること。
  そうであれば、わかろうとするのではなく、わからない中にどこまでわかったかを
  広げること。

塾生発表

・ ロードバイクをやっているが、寝ずに走っていると自転車のギアやウェアの価値がわかる。
  自分の実体験から価値がわかると、市販の商品へのこだわりや機能性も理解できる。
  商品代金として一般的には高いと思われるものの、本当に求める人には必要。
  求める人が商品を供給する企業を応援したくなるもので、それが自然な投資なのでは?
  しかし自転車文化の広まりを考えると、大衆化された商品を扱う企業こそ応援に値するか?

塾長副塾長コメント

・ こだわる企業は成長力が低いかもしれないが、大衆化を目指す企業への愛着はどうだろう?
  そのせめぎ合い、折り合いを考えないといけない。
  但し言えることは、主体性を持って自分で応援したいかどうかを考えること。
・ クジラの子のクジラにしかならない、メダカの子はメダカにしかならない。
  ではメダカに存在価値はないのか?
  クジラの子を取るという投資家もいるが、メダカを応援したい投資家もいる。
  2~3年に一度捕れるクジラ、捕りやすいメダカ、どちらもあり。

塾生発表

・ ハンバーガー屋が時々混雑しているが、何か理由があるのか?
  そのような視点でいると、キャンペーンやその他のアクションをしているのがわかる。
  とある店長に聞いてみると、高齢者を積極採用をした結果、高齢の顧客が来るようになった。
  審美眼とは言わないが、観察していると見えるものがあるのだと感じた。

塾長副塾長コメント

・ 審美眼ではない。が、観察するのは大事で自分の目で見て判断できればよい。
  アナリストの大切な仕事の一つが定点観測。
  一点期間、同じ場所で観察していると、何がどう変わるかが見えてくることもある。
  変わるもの、変わらないもの、販売の視点、購入の視点・・・自分なりの問題意識で見る。
  多くの人は机の上で資料を見るだけ・・・評論は不要で、心で前向きに感じてみよう。
・ 自分の興味のあるものは見えるが、興味ないものは見えない。
  南青山三丁目の交差点にとても巨大な、杭とかパイルの看板がある。
  土木や建設に従事する人は皆知ってるが、多くの人は知らない。
  一方、表参道の交差点にはサマンサタバサの広告がある。
  女性なら見えるかもしれないが、男性には見えない。
  見ることとは難しく、あらゆることに関心を持つことが見ることの始まり。

塾生発表

・ ハンバーガー屋が時々混雑しているが、何か理由があるのか?
  そのような視点でいると、キャンペーンやその他のアクションをしているのがわかる。
  とある店長に聞いてみると、高齢者を積極採用をした結果、高齢の顧客が来るようになった。
  審美眼とは言わないが、観察していると見えるものがあるのだと感じた。

塾長副塾長コメント

・ 審美眼ではない。が、観察するのは大事で自分の目で見て判断できればよい。
  アナリストの大切な仕事の一つが定点観測。
  一点期間、同じ場所で観察していると、何がどう変わるかが見えてくることもある。
  変わるもの、変わらないもの、販売の視点、購入の視点・・・自分なりの問題意識で見る。
  多くの人は机の上で資料を見るだけ・・・評論は不要で、心で前向きに感じてみよう。
・ 自分の興味のあるものは見えるが、興味ないものは見えない。
  南青山三丁目の交差点にとても巨大な、杭とかパイルの看板がある。
  土木や建設に従事する人は皆知ってるが、多くの人は知らない。
  一方、表参道の交差点にはサマンサタバサの広告がある。
  女性なら見えるかもしれないが、男性には見えない。
  見ることとは難しく、あらゆることに関心を持つことが見ることの始まり。

塾生発表

・ 長期投資が社会に根付くのは壮大な話だと感じた。
  市場や投資の番組を運営していて気づくことがある。
  この10年、証券市場はとても良くなったと感じる・・・証券税制、企業の努力など。
  一方で投資家が育っていないように思う・・・短期投資家、シニア投資家など。
  それはそうだ・・・なぜなら午前中の番組をみるのはシニアだから。
  だから僕は若い人や長期投資家がみる午前の番組を作りたいと思う。
・ オペラと投資と歌舞伎の成り立ちを勉強・・・シャーロックホームズが好きで英国を注視。
  若い音楽家や作曲家を、パトロンが自分の名声のため支援した。
  それが当時の資産家の間で流行。
  投資に置き変えても、企業と投資家の関係と同じではないか。
  オペラであれば衣装、街なども応援の対象で、文化ができる。
  同じ時代、日本では歌舞伎が同じような状況だった。
  モノではなくコトに応援することで、文化ができるのは面白いと感じた。
・ お金にならない投資もある・・・例えば子育て。
  ベビーシッターを筆頭に、お金にならなかったものをお金にするのも投資家の役割。
  しかし人は全てベビーシッターに任せるのではなく、お金にならないことも
  大事なのではないか。
  僕たちがお金に関することはやっておくので、お金にならないことをやってください
  という姿勢。
・ 空気を読む・・・一人一人は良い意見だけど、声の大きい一人の意見に追随してしまう。
  10のうち6しか理解していないと結果的にうまくいかないし検証もできない。
  同じように市場でも、大規模な投資家が握るのではなく少数の意見が必要なのでは。
  個人に資金が大量になく投資家できないなら、消費で意思表示ができるのでは?
・ 教育と投資の関係について、多くの点で共通点があるなと感じた。
  人権教育や食育など○○教育が学校には必要なのではという意見が多い。
  子育てもそうだが、将来を作るのが応援ならば、寄付も良い活動なのではないか?

塾長副塾長コメント

・ 長期投資の番組ができるのは面白い。
・ 欧州の城など建設した本人は大したことないが、城が年5兆円を生む観光資源となった。
・ では、お金に関することはどうしていくのか?
・ 声の大きい人と市場の考え、何も関係ない・・・無理して考えつなげるな。
・ ここは感想を述べる場ではなく考える場・・・自ら考え行動しないと意味がない。

澤上篤人塾長

最初に言った「読み込み」というテーマに戻そう。

例えばトランプ米大統領・・・なんだかんだ言われたが既に一年経ってしまった。
残り三年で再選、長くてもあと七年、さて彼が何をし、世界はどうなるだろうか?
考え感想を述べるのは気持ちがいいかもしれないが、行動しないと意味がない。

澤上龍副塾長

定点観測ではないか、様々な立場で考えてもらっても面白い。

青山の看板の話であれば、消費者として見る側の立場と広告を出す側の立場。
ハンバーガー屋の情報発信であれば、受け取る側と発信する側。
初回に伝えたように、投資する立場があれば投資される立場もある。
立場を変え、自分だったらどう行動するだろうかと考えるのも発見に繋がる。

トランプ大統領の件については、政策がどう影響するのだろうかと考えるだけではない。
自分が大統領だったらどういう政策を打つだろうかと考える必要があるのではないか。

藤野英人副塾長

我々が好きそうな言葉を言う必要はないし、好かれる必要もない。
真実の言葉で、我々に挑戦してもらっても構わない。
好かれようとすると、そこら辺にいる普通の投資家になってしまう。

多く人がどう考えるだろうかという視点も大事。
しかし自身がどう思うかがもっと大事。

考える立場として、本当に考えて話したのか。
それが今日の話の厳しさに繋がっていると思う。

塾後の懇親会風景

※今回、懇親会の写真はございません。ご了承ください。